南部３州

ブラジル南部はポルトガル語でRegião Sul（ヘジャオン・スル）と呼ばれ、国内５地域中一番小さいエリアです。パラナ、サンタ・カタリーナ、リオ・グランデ・ド・スルの３州からなり、健康、長寿、生活の質、治安、教育水準が国内で一番優れている地域として知られています。気候は、亜熱帯気候ですが、他地域より四季がはっきりしています。冬季はブラジルで唯一、高地など標高の高いところで霜や降雪が観測されます。伝統的に、ヨーロッパ系移民の影響が強いエリアで、パラナ州のイグアスの滝を除けば、一般的なブラジル観光ルートには入らない、典型的なブラジルのイメージとは異なる顔を持っています。

南部3州にはもともと先住民が暮らしており、一番初めに入植したのはポルトガル人ではなくスペイン人のイエズス会宣教師でした。スペインとの争い後、ポルトガルの支配下に入りますが、本格的な人口の増加はヨーロッパからの移民の到着までありませんでした。主に、ドイツ、イタリア、ウクライナやポーランドなど東欧からの移民が多く、黒人奴隷の流入がなかったため、地域人口の中の白人の割合がとても高いです。パラナ州にはコーヒー栽培のため日系移民も多く入植し、州都クリチバはサンパウロに次いで国内で2番目に日系ブラジル人の多い街です。

ヨーロッパ系移民の影響は街並みや文化、習慣に見られ、地域の有名なお祭りも、世界で2番目に大きいオクトーバーフェスト（ブルメナウ）やぶどう祭り（カシアス・ド・スル）などヨーロッパの伝統を受け継いでいます。特に、リオ・グランデ・ド・スル州は牧畜が盛んで、州出身の人はGaúcho（ガウショ/カウボーイの意味）と呼ばれるように、アルゼンチンやウルグアイに近いヨーロッパ系のアイデンティティーを誇りとしています。1835年から10年間、州の独立運動が起こり、一時共和国として独立したように、ブラジルの他地域とは一線を引く州でもあります。

３州の州都は、都市計画の成功例として世界的に知られるクリチバ（パラナ州）、フロリッパの愛称で知られるサンタ・カタリーナ州の州都フロリアノポリス（サンタ・カタリーナ州）、ガウショ（カウボーイ）の町ポルト・アレグレ（リオ・グランデ・ド・スル州）です。主な見どころは各州都に加え、275の滝が80ｍの高さから流れ落ちるイグアスの滝（パラナ州）、美しいビーチや牡蛎などのシーフードで有名なサンタ・カタリーナ島（サンタ・カタリーナ州）、10月のオクトーバーフェストで有名なブルメナウ（サンタ・カタリーナ州）、映画祭やクリスマス休暇地として人気なグラマードとカネラ（リオ・グランデ・ド・スル州）、雪が見れるブラジル一番寒い街として知られるサン・ジョアキン（サンタ・カタリーナ州）などがあります。

飛行機

南部３州への玄関口は、イグアス国際空港（パラナ州）、クリチバ中心部から南東18kmにあるアフォンソ・ペーナ国際空港（パラナ州）、フロリアノポリスから南12kmにあるフロリアノポリス国際空港（サンタ・カタリーナ州）、ポルト・アレグレ中心部から6kmのポルト・アレグレ国際空港（リオ・グランデ・ド・スル州）があります。フロリアノポリス国際空港とポルト・アレグレ国際空港からは、ブエノスアイレスやサンティアゴなど近隣諸国への便も出ています。

日本や南米大陸外から国際線を利用する場合は、通常サンパウロかリオ・デ・ジャネイロから国内線に乗り継ぐようになります。

長距離バス

各州都には長距離バスターミナルがあり、サンパウロやリオ・デ・ジャネイロ、南部の主要都市、パラグアイやアルゼンチンなどから長距離バスが出ています。サンパウロからフロリアノポリスまでは長距離バスで約12時間かかります。